研究概要 |
レジオネラ属菌の16SrRNAを短時間で検出できるパルサー(PALSAR)法に着目し,各種消毒薬・抗菌薬で処理した培養サンプル及び温泉水を用いて、Real-time PCR法(TaqMan-PCR法)、培養法およびATP法と比較し、PALSAR法の有効性について検討した。 次亜塩素酸ナトリウム処理による効果判定では、L.pneumophilaを添加した蒸留水に次亜塩素酸ナトリウムを一定量添加し、室温で1時間放置した後、PALSAR法、培養法及びRealtime-PCR法を用いてレジオネラ属菌の検出を行なった。PALSAR法は温泉水の消毒で推奨されている0.2~0.4ppmの処理濃度では、レジオネラ属由来のrRNAはまったく検出されなかった。一方、PCR法では、使用した全ての濃度において陽性を示した。培養法では、PALSAR法と同様に、0.2~0.4ppmの濃度において、菌の増殖は認められなかった。このことからPALSAR法は消毒薬の効果判定に有効である可能性が示唆された。 銀イオン処理による効果判定では、PALSAR法の成績は培養法とATP法の成績と相関は認められなかった。 レジオネラ属に対して作用メカニズムの異なる5種類の抗菌薬を用い、8MIC,1MIC,1/8MICの薬剤濃度での抗菌作用では、PALSAR法はいずれの抗菌剤に対しても、培養法、ATP法と同様に、抗菌剤の薬剤濃度に依存して発光強度の減少傾向を示したことから、生存・増殖しているレジオネラ属に対する抗菌効果を濃度依存的に反映していることが示唆された。 温泉サンプルについては、滅菌した温泉サンプルを陰性対照として、PALSAR法でレジオネラ属を検出した結果、温泉サンプルの8検体中全ての検体で培養法と一致する判定結果が得られた。
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