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2009 年度 実績報告書

魚類の有機ハロゲン化合物代謝能の支配因子:淡水魚の高い代謝能獲得原因の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21651023
研究機関東京農工大学

研究代表者

高田 秀重  東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70187970)

キーワードPRDRS / PCBs / 淡水魚 / 脱臭素 / ミクロソーム / バイオアッセイ / 代謝能 / コイ
研究概要

多摩川へ流入する下水処理場放流口近傍に棲息するコイを採取し、解剖し、エラ・肝臓・筋肉・生殖腺中の臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)濃度を測定した。コイの組織中からは、現在までに使用されたいずれのPBDEs製品にも含まれずかつBDE209由来とみられる構造の異性体(BDE179,BDE188,BDE202)が検出された。また、石面付着物・水試料からもこれらの異性体は検出された。デカBDEの使用により放出されたBDE209がコイ体内での代謝を受け、低臭素化PBDEsとなることが示唆された。各組織のPBDEs組成は類似しており、4臭素PBDEのBDE47が検出成分中で大部分を占めていた。一方、同地点で採取した放流水及び石面付着物中のPBDEsでは、臭素数5以上のPBDEs(BDE99,BDE179,BDE209)の割合が大きく、BDE47の割合は小さく、コイの組織中と大きく異なる組成を示した。このことから、BDE47以外の異性体はコイの体内で代謝され、低臭素化されることが考えられた。
東京湾湾奥部で採取したスズキの体組織中のPBDEsの測定を行い、多摩川のコイの測定結果と比べた。スズキに比べ、コイの筋肉中のPBDEs濃度は4倍程度高くかった。組成ではBDE47の占める割合はコイの方がスズキに比べ大きく、逆に臭素数5以上の成分は、コイはスズキに比べ低い割合となった。一方、それらの魚の周辺環境中のPBDEs組成を比較すると、BDE47の割合は海水中で大きく、コイの生息する下水処理水中では高臭素のPBDEsの割合が大きかった。以上より、コイはスズキに比べてPBDEsの代謝能が高く、取り込んだPBDEsを脱臭素化し、BDE47の形で体内に蓄積していると考えられた。
魚体内での有機ハロゲン系化合物の代謝を実測するために,肝臓のミクロソーム画分を精製し、そこに標準物質を添加して分解過程を追うin vitroの実験系を確立した。予備的な実験の結果、BDE99が脱臭素してBDE47へ代謝されることが確認された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 淡水魚への臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)蓄積機構の解明2009

    • 著者名/発表者名
      山田登志子、高田秀重、水川薫子
    • 学会等名
      第18回環境化学討論会
    • 発表場所
      つくば国際会議場
    • 年月日
      2009-06-10
  • [学会発表] 底性魚におけるPBDEsの食餌由来の生物濃縮2009

    • 著者名/発表者名
      水川薫子、小林淳、木下今日子、桜井健郎、高田秀重、鈴木規之
    • 学会等名
      第18回環境化学討論会
    • 発表場所
      つくば国際会議場
    • 年月日
      2009-06-10

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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