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2010 年度 実績報告書

魚類の有機ハロゲン化合物代謝能の支配因子:淡水魚の高い代謝能獲得原因の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21651023
研究機関東京農工大学

研究代表者

高田 秀重  東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70187970)

キーワード臭素化ジフェニルエーテル / ミクロソーム / 代謝実験 / 代謝能 / 淡水魚 / コイ / バイオアッセイ / 脱臭素
研究概要

魚の肝細胞ミクロソーム画分を用いた臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)の分解実験を行った。淡水魚のコイ、アユ、ニジマス、ヤマメ、海水魚のスズキを用いた。淡水魚を用いた分解実験では、失活区を除いた全ての時間区で分解産物の8~6臭素PBDEsを検出し、これら8~6臭素PBDEsは時間とともに増加した。このことから、多摩川コイはBDE209分解能をもつことが明らかとなった。PBDEsの脱臭素化は、メタ位>パラ位>オルト位の順に多くなった。これは、甲状腺ホルモンの脱ヨウ素化に作用する脱ヨウ素酵素(DI)が関与するという仮説を強く支持するものである。
多摩川コイと佐久コイの肝ミクロソームによる分解実験結果を比較すると、BDE299添加量に対する変換割合(8~6臭素合計)は、多摩川コイ9%、佐久コイ4%となった。また筋肉中濃度では、多摩川コイは佐久コイの約17倍PBDEsを濃縮していた。汚染された環境に棲む個体はBDE209の分解能力が高いことが示唆された。
多摩川コイと東京湾スズキの分解実験結果を比較すると、BDE209添加量に対する変換割合は、多摩川コイが9%に対し東京湾スズキで1%となった。筋肉中PBDEs濃度はいずれも同程度であったことから、PBDEs代謝能の差異は汚染程度の差異によるものではなく、淡水魚と海水魚の違いによるものと考えられる。淡水魚の方が海水魚よりも代謝能が高いのは、河川の方がより陸上の天然由来の毒物にさらされやすいため、より代謝能が発達した可能性が考えられる。
BDE209添加量に対する変換割合は佐久コイ4%、アユ2%、ニジマス0.1%、ヤマメ0.08%となった。PBDEs代謝能の差異は食性の違いによるものと考えられた。PBDEsの分解能が雑食(コイ)>草食(アユ)>肉食(ニジマス・ヤマメ)となったのは、昆虫や石面付着藻類に蓄積する天然由来の毒物にさらされやすい雑食や草食の魚で代謝能が高い可能性が考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Levels, Temporal Trends and Tissue Distribution of Perfluorinated Surfactants in Freshwater Fish from Asian Countries.2011

    • 著者名/発表者名
      M.Murakami, N.Adachi, C.Morita, H.Takada
    • 雑誌名

      Archives of Environmental Contamination and Toxicology

      巻: 印刷中(印刷中)

    • 査読あり

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公開日: 2012-07-19  

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