本研究は、温室効果ガスの排出量を削減する効果とともに、地表から宇宙へ直接放熱する量を増やす効果で地球温暖化を防止することを目指している。設定温度を境として変化する表面微細周期構造に着目し、高温時には冷却を、低温時には加熱をする効果を調べる。具体的には、設定温度を境に表面の周期構造が変化する表面微細周期構造の変化前後での太陽光吸収率と赤外線放射率の変化と変化前後での表面微細周期構造の放射冷却と加熱の効果を明らかにする。 本年度は、1.UVナノインプリント技術による表面微細周期構造の製作、2.太陽光吸収率と赤外放射率の測定、3.表面微細周期構造を切り替えるための温度スイッチの選定を行った。 1については、表面微細周期構造作成装置を製作し、UVナノインプリント技術による表面微細周期構造の製作に成功した。2については、北海道大学オープンファシリティ内のFT-IR赤外放射分光計を利用して、表面微細周期構造の透過率を測定し、表面微細周期構造に波長依存性を有することを確認した。3.について検討した結果、小型で適当な遷移温度を持つ温度スイッチが見つからなかった。また、温度スイッチを用いて表面微細周期構造を変化させるよりも、高温時には太陽光の当たらない北向きの表面微細周期構造を用いて冷却し、低温時には太陽光の当たる南向きの表面微細周期構造を用いて加熱する方法のほうが安価に実現できることが分かった。以上より、3については行う必要がないと判断した。
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