研究概要 |
本年度は,1.加熱用の表面微細周期構造の太陽光吸収率と冷却用の表面微細周期構造の赤外線放射率を測定した.2.加熱用の表面微細周期構造の加熱効果と冷却用の表面微細周期構造の冷却効果を測定した. 特に冷却用の表面微細周期構造では,UVナノインプリント法を用いて,6×6×6μm^3の矩形穴を2μmの間隔を空けて敷き詰めた表面微細周期構造を作製し,ヘリコンスパッタによってこの表面微細周期構造に金膜を成膜した.表面微細周期構造の垂直入射-半球透過率および垂直入射-半球反射率における分光特性を,積分球を持つFT-IR装置を用いて測定した結果,波長10μm付近に特に高い垂直吸収率を持たせ,それ以外の波長帯に高い反射率を持たせることができた.キルヒホッフの法則を仮定すると,10μmに垂直吸収率と同様,特に高い垂直放射率(ヘリコンスパッタのターゲットに正対する面に厚み200nmの金膜ができる時間スパッタしたサンプルで0.6)を持つことになる,さらに上記の表面微細周期構造の冷却効果を表面微細周期構造を持たないサンプルと比較したところ,表面微細周期構造を持たないサンプルよりも温度が低下することが確認され,金属膜を持つ表面微細周期構造により冷却効果を増大させることができることが分かった。 波長8~2μmでは大気による吸収および散乱が少ないため地球の熱を宇宙空間に直接捨てることができる。金属膜を持つ表面微細周期構造は,温室効果ガス排出量削減とは別の方法による地球温暖化対策技術となる可能性を持つと言える.
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