研究概要 |
我が国には,約100万ヘクタールもの未利用地があり,2020年頃における資源作物の年間収穫可能量は、約1200万トン(乾燥重量),エネルギー資源として原油換算で約540万キロリットルと試算され,効果的なバイオマスエネルギー変換技術の開発が求められている。本研究は水素とエタノールの複合的発酵技術と微生物のグラニュール化現象を組み合わせることにより,バイオマスのエネルギー転換効率を飛躍的に向上させる画期的技術を開発しようとするもので、平成21年度では次の取り組みを行った。 (1)水素・エタノール複合発酵微生物のグラニュールの形成 有効容積5LのUASB型リアクターに熱処理したメタン発酵グラニュールを核として投入し、別途培養した水素・エタノール複合発酵微生物を加えて培養した結果、粒径0.5~4.0mmの安定した水素生成グラニュールを生成することができた。 (2)複合発酵微生物のグラニュールを用いた水素発酵特性 水素生成グラニュールの発酵特性を把握するために、高温条件においてHRT、pHおよび基質濃度を変化させてデンブンの水素実験を行った。その結果、最大水素収率は1.7mol-H_2/mol-glucoseとなった。この水素収率はpHおよび基質濃度に影響される。pHが5.1以下および7.6の条件で水素とエタノールの同時生成が見られた。高温グラニュールによるデンブンの発酵経路は運転条件によって変化し、水素・エタノール生成に不利になった場合、ギ酸と乳酸が多く生成した。
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