研究概要 |
台南市安順地区工場跡地から採集した環境試料より抽出したDNA及びRNAについて、それに含まれる水銀浄化遺伝子の特徴を解析し、水銀耐性遺伝子群としてこれまで知られているボストン湾分離遺伝子や水俣湾分離遺伝子との類縁関係を明らかにした。 汚染土壌中の水銀還元酵素遺伝子merAに焦点を当て、この遺伝子の分布および多様性の状態を調べた。まず、土壌サンプルからDNAを抽出し、抽出したDNAを鋳型として、Firmicutes(Firm), β/γ-Proteobacteria(β/γ), Actinobacteria(Act), α-Proteobacteda(α-Pro)、4つの微生物門または亜門が保有するそれぞれのmerAに特異的なプライマー^<(1>を用いて、PCRを行った。次に、FirmicutesのmerA増幅用プライマーセットで増幅されたPCR産物を配列決定し、決定した塩基配列をMerA酵素のアミノ酸配列に置き換えてアライメント解析によって調べ、系統樹を作成した。さらに、土壌サンプル中に存在する水銀耐性細菌の単離培養を、塩化水銀濃度が0μM,25μM,50μMの条件下で行った。単離した水銀耐性細菌のゲノムDNAを抽出し、16SrRNA遺伝子の増幅及び塩基配列決定により、単離細菌の同定を行った。 土壌DNAおよび単離細菌からPCRによって増幅されたmerA部分配列の塩基配列を決定し、決定した塩基配列をアミノ酸配列に置き換えて解析した。その結果、既知のMerA酵素と相同性が高いものが存在するとともに、新規のMerA酵素も多く含まれており、MerA酵素は多様であることが明らかになった。
|