本研究は、(1)消火支援用浮子に求められる性能調査及び材料選定、(2)泡消火剤の物性調査及びシミュレーションの作成の2つの目的により研究を進めた。 消火支援用浮子の性能調査及び材料選定では、直径2cmの中空ガラスボール(以下GB)、ガラス繊維布袋に9個のガラスボールを入れた浮子(以下ガラス袋)を用いて、燃焼抑制効果を実験的に求めた。実験は円形貯蔵タンクをモデルとして直径1.0mの円形火皿にn-ヘプタンを燃料として用い、燃焼時の火炎高さ、重量減少及び液内温度から燃焼抑制効果を把握した。浮子の条件は、浮子なし、GB1層、GB3層、GB5層、GB2層の上にガラス袋2層の5種類行った。その結果、GB1層、GB3層、GB5層とした場合の燃料重量変化を比較すると、重量減少速度は5層の場合、浮子なしと比較して最大約9%抑制された。全面が火災域となるまでの時間は3層で200秒、5層では800秒であり、層が増すことにより燃焼抑制効果が発揮されたことが分かった。GB2層+ガラス袋2層の場合、着火から500秒までの燃焼抑制率は、75%と高かった。浮子がない場合と比較して燃焼時間が6倍遅延し、火炎高さは2/3以下となった。種類の異なる浮子を入れることにより、浮子間の隙間を埋め、浮子を用いることにより燃焼抑制できることが分かった。 泡消火剤の物性調査及びシミュレーションの作成では、粒子法(MPS法)により、放水及び泡放射シミュレーションプログラムを2Dで作成し、シミュレーション結果と実写試験の画像を比較した。放射された水あるいは泡は、空気抵抗により徐々に分離していき、粒の大きさが異なるため、空気抵抗の影響力(慣性力)に再が生じると考えられる。初期の粒子径にRosin-Rammler分布によるばらつきを与えることで、慣性力を考慮した速度計算を行い、分散状況を再現した。その結果、実験に見られた放射の特徴や軌跡と良く一致した。
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