研究概要 |
ゲーム機等に搭載されている汎用のグラフィックプロセシングユニット(GPU)を利用した,超高速かつ低コストな津波予測システムを開発し,浸水域・浸水深・家屋被害の津波到達前予測を実現する革新的な津波予報技術の基礎を築く.また,この新しい津波予報技術を次世代の「津波速報」と位置づけ,予測内容の質と量に対応した津波予報区,および予報内容・情報伝達体制を含めた新しい津波予報の制度を検討した. これまでの研究を総括し,次世代津波速報のためのGPUコンピューティング技術の基盤を構築し,全国を対象とした津波到達前予測を踏まえたシミュレーション拡張の技術的要件を明らかにした.日本近海で発生するいかなる地震津波に対しても到達前に計算を終了させて津波到達時間・沿岸津波高・浸水域・浸水深・家屋被害棟数・津波継続時間を予測することを目標とし,システムの計算速度を対象領域の大きさ,計算に利用するメッシュ数およびGPUのスペックとの関連で検証した.この技術を次世代の津波速報と位置づけ,実用化するための技術的要件を明らかにした. 低コストかつ実用的なシミュレーションシステムを,2種類のGPUを用いて試作した.ひとつは,NVIDIA TESLAGPUを搭載したLinux OSのPC,もうひとつは同Quadroを搭載したMac OSのワークステーションである.どちらもCUDA Fortranでソースコードを記述し,PGIコンパイラ・アクセラレータを用いてコンパイルする環境を構築した.従来のFortranで記述し,CPUで実行するプログラムに比較し,約30倍の高速化に成功した.本システムを沿岸地域に配備することで,安価なリアルタイム浸水予測システムを構築することができる.
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