本研究は、雲、霧を含む気塊に強力な音波を照射することにより、霧水の粒子間衝突・併合を加速し、大粒子にして重力落下促進を図る技術、「降水促進技術」の開発を目的とする。逆に、交通障害になる霧を消す技術、「消霧技術」の研究でもある。 本年度は、理論と数値研究から、強力音波場では「非線形性」が現れ、サイン状の音波でも徐々に鋸歯状になり最終的には「衝撃波フロント」をもつ直角三角形状の鋸歯の波形になること、この音波場での微小粒子の運動、即ち往復運動と伝播方向への移動が、「粒径」によって異なるため、大小霧粒間の衝突合体が促され、水滴は大粒径に成長して重力落下(地表沈着)が促進されることを示した。実大気中の霧水については、音響強度130dB以上、周波数100-200Hzの音波場を実現すれば、数10秒の音波照射で数100倍の霧水落下促進が実現できることを数値実験により示した。 この上記の音波場を実現するための音源開発を行った。まず、強力音源として、ピストン使用のホーン、圧縮空気使用のエアホーン、電子ホーンについて、高調波発生を含めた周波数特定と調べた。結果、1分間連続発信に対する耐久性を考慮して、ピストン型ホーン採用を決定し、大型汽船に使用されているホーンを購入した。これを、本研究用改造するとともに、音波発信制御用の電子回路製作、音の拡がり角度をできるだけ抑えるための拡張ホーン(自作)を製作した。
|