研究課題/領域番号 |
21651085
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (30156195)
|
研究分担者 |
奥崎 大介 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00346131)
|
キーワード | PCR / Chum-RNA / 線形増幅 / mRNA増幅 / センス鎖 / DNAマイクロアレイ / 極微量 / リアルタイムPCR |
研究概要 |
見かけの基質濃度を上げるというチャムRNAの発想をPCR法に応用し、通常では検出が困難な超微量なターゲットDNAを増幅できるようにできないかという研究を開始した。PCR反応チューブ内で見かけのGAPDH基質濃度を上げるために添加する今回設計した基質Chum-DNAにおいては、両端にHsGAPDH-FとHsGAPDH-Rの相補鎖配列、中央にTht111Iの制限酵素認識配列を配置し、両プライマーによって増幅されるChum-DNA断片はPCR増幅過程でTht111I制限酵素によってすみやかに切断され、GAPDH DNA断片の増幅を妨げないように設計されている。実験では2本のChum-DNAは二本鎖DNAかを行った後に使用した。Chum-DNAの基質効果を観察するために設計したGAPDH DNA断片増幅用のプライマーで902bpのDNAサイズで増幅されるはずである。実際、293T cell cDNAを鋳型にしてGAPDHのDNA断片(1346bp)をPCRで増幅し、T7プロモーターで発現するT7Blueベクターにサブクローンした。PCRにおけるChum-DNAのダミー基質効果を検討するためテンプレートとなるT7Blue-GAPDHプラスミドを段階希釈(x10^<-6>~x10^<-13>)して最適条件を検索した。具体的にはHsGAPDH-FとHsGAPDH-Rプライマーを用いて増幅が認められる範囲の希釈率を決定した。電気泳動におけるバンド強度からGAPDHを検出するためには少なくともx10^<-7>以上の希釈したテンプレートを用いなければならないことを確認し、その後のChum-DNAの効果を検証するためのテンプレート濃度はx10^<-7>~x10^<-9>に決定した。この条件で実験を進めたところ、Chum-DNA添加量に応じて、増幅されるGAPDH DNA量の増量効果は認められなかった。そこで、ヘアピン構造を容易に形成できるChum-DNAver.2を再設計した。この場合にはPCRポリメラーゼはGAPDH-FあるいはGAPDH-Rのようなプライマーを必要とせず、5'が突出している10塩基ほどを合成伸長する。合成が終わったものは完全なヘアピン構造を形成することになるので添加した以上のChum-DNAは分子数では増加しないと期待できる。現在、この実験条件の最適化に取り掛かっている。
|