・生細胞のイメージング すでに生細胞の蛍光イメージングとして、我々の開発した6πアザ電子環状化反応を用いた効率的標識化反応を用いてリンパ球の蛍光標識を行い、マウスを用いてその動態を観測し、リンパ球がリンパ節や脾臓に集積する過程を観測した。さらには通常のリンパ球はマウスに移植した癌細胞に集積しないのに対して、6πアザ電子環状化反応を用いて細胞表面にN-結合型糖タンパク質を導入したリンパ球が癌部位に集積することを見出した。本年度はさらに癌細胞の初期転移を観測するために、癌細胞の標識化を行って、マウスに投与して、転移の初期過程の観察に成功した。 ・腫瘍マーカーのイメージング 癌化にともなって特徴的に癌から分泌される分子群の中には、腫瘍マーカーとして臨床検査の対象になるものがある。しかしなぜ癌が腫瘍マーカーを分泌するのかは明らかではない。そこで腫瘍マーカーを上記の方法で標識してその動態を観察したところ、糖鎖構造依存的な特徴的な臓器集積性を示すことを見出した。 ・特定のタンパク質の標識化の検討 in vivoで特定のタンパク質を標的とする標識化について検討した。そこで6πアザ電子環状化反応用のプローブにタンパク質によって認識されるリガンドを結合させた新規プローブを化学合成し、このプローブを用いてタンパク質混合物の中から標的タンパク質のみを標識することに成功した。さらに癌細胞のみを標識するために、インテグリンリガンドであるペプチドRGDの結合したプローブ合成について検討した。 ・抗体と糖鎖の複合体の調製とPETイメージング この目的のために、糖鎖をタンパク質、あるいはタンパク質同士を効率的に複合体化させるための新規プローブの開発について検討した。
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