研究概要 |
本申請者が開発した新規調製を用いると、高濃度でC_60を取り込んだC_60含有リボソームが調製でき、C_60を水溶化できる。この_C60含有リボソームは可視光を照射することで、活性酸素を発生しがん細胞を死滅することが可能なことから光線力学治療法への応用が期待される。しかし、光線力学治療法では可視光を利用するため、表層がん治療には有効であるが、深部がんには働かない。そこで、本課題では、このC_60含有リボソームに、可視光に変え、より深部まで照射することが可能なラジオ波もしくは超音波を照射することで、深部がんにも有効ながん治療法の開発を目指す。これらのエネルギーを直接、もしくは間接的にフラーレンが吸収し、がん細胞の温度上昇あるいは活性酸素の発生を引き起こすことにより温熱療法(ハイパーサーミア)または超音波力学治療法が可能となるものと予測される。本年度は、ラジオ波を照射して、その効果を検討した。 大阪大学よりお借りしたラジオ波発生装置(NF Electronic Ins., FG-161)を用いて、これまでの報告でC_60の温度上昇が確認されている13.56MHzの波長をC_60含有リボソーム水溶液に1~2時間照射した。しかし、水溶液の顕著な温度上昇は確認されなかった。これは、ラジオ波の強度が弱いためであると考えられる。そこで、増幅器を接続し、さらに検討を行ったが結果は同じであった。今後、病院などでハイパーサーミア治療において実際に用いられているようなさらに強いラジオ波を発生可能な装置を探し、共同研究として検討を続ける。
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