研究概要 |
本研究の目的は「電荷をもたない核酸のリン酸部保護体を合成し、細胞内に移行させた後、細胞内の酵素反応により保護基を除去する」という方法論を確立に目途をつけることにある。23年度は以下の実験を実施した。 1.ホスポトリエステル部位とホスホジエステル部位を有するキメラ型DNAの簡易合成法開発:dioxolenone保護アミダイトユニットを用いて、DNA自動合成機上でDNA鎖を合成する。合成サイクルの中の酸化反応(I2試薬を使用する)においてdioxolenone保護基が除去され、ホスポジエステル結合が生成することを見出した。Dioxolenone保護アミダイトユニットと、別の生分解性保護基を有するアミダイトユニットを用いてDNA鎖を合成することでキメラDNAを得る手法を見出した。 2.トリメチルブロック効果を利用する保護基の開発:Greenwaldらはトリメチルロック効果を利用するアミノ基の保護基を報告している(R.B.Greenwald,et al.,J.Med.Chem.2000,43,475-487)。23年度はトリメチルロック効果を利用するリン酸ジエステル部位の保護基の開発研究を実施した。即ち、トリメチルロック骨格を有する保護基を結合したチミジンのアミダイトユニットを合成し、さらに液相合成法でトリメチルロック保護基を有するチミジンダイマーを合成した。 3.エステル結合を介して長鎖アルキル基の結合したDNA鎖の合成研究:4N-カルボキシメチル-2'-デオキシシチジン保護体を合成し、4N-アルコキシカルボニルメチル体へと誘導した。さらにDNA合成用アミダイトユニットとし、DNA自動合成機を用いて、エステル側鎖を有するDNA鎖(オリゴチミン配列を有する)を合成した。エステラーゼで処理することで、エステル側鎖は徐々に加水分解された。4種の塩基を有するDNAにエステル側鎖を結合する手法を開発することが今後の課題である。
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