ニセショウロ属のきのこは見た目は丸いボール型で、いわゆる傘やひだをもつような典型的なきのこ型をしていない。そのため、分類の手がかりとなる項目が少なく、分類の進んでいない生物群である。ニセショウロ属のきのこは腹菌類に区分されているが、このグループは分類の難しい似た形をしたきのこを集めたもので、正式の分類をしたものではない。近縁の属にも似たきのこがあり、トリュフのように食用となるものがあるため、間違って食べると食中毒を起こすこともある。これまで何件か事故の報告があるが、分類がきちんとできているとは言えないために、いったいどれくらいの種が日本に分布しているのか、それらはどの季節にどのような林(共生樹木の有無)に発生するのか、どの種が有毒なのか、それを見分けるためにはどのような項目を調べれば良いのか等はほとんどわかっていない。そこで、まずは3年程かけて集まるきのこの観察、呈色反応、毒性を調べることにした。 平成21年度は4月から3月の間、京都市内の雑木林の観察を続けたが、天候不順のため、発生が悪く、2~3種類が集まったにすぎないが、これらは1年を通して、かなり長い間発生していた。樹木の種類や気候の条件を変えるため、一番発生の多そうな時期に名古屋市内、東村山市内の林を観察してみたが、天候不順のため、1種類のニセショウロ属きのこをエゴノキの根元で採集するのみであった。また、きのこの会の協力者が採集したものを含めると肉眼での違いがわかる4~5種を集めることかできた。採集地別に種を分け、これらの特徴観察およびDNA分析を行い、同種か別種の区別をした上で、来年度に同じ採集地に発生したものを一斉に呈色試験や毒性試験に付す予定である。
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