昨年度に引き続き、腹菌類ニセショウロ属のきのこの分布調査を行った。今年度は特に松林を中心とした針葉樹林において見られる種を調べた。高温小雨の異常気象が続いたため、きのこの発生は全般に少なかったが、以下のような種が確認された。いずれも夏から秋にかけて、雨の後など、湿度のある時期に見られた。 ハマニセショウロ(気比の松原:赤松と黒松の混交林) ツチグリニセショウロ(虹ノ松原:黒松が主であり赤松が少量混じる) シロニセショウロ(龍谷の森:赤松、広葉樹の混交林) ヒメカタショウロ(関東および関西地区の公園など:アラカシの木やコナラの林周辺) この他、いくつかの未同定種(大きさは小さいものが多い)が採集できた。 子実体の大きさの大きな種(子実体の直径の大きいものは10cm程度になる)は針葉樹林に発生する傾向があり、小さな種はカシやナラなどの広葉樹のある場所に発生するようであるが、共生関係にあるかどうかは不明のままである。 上記のニセショウロ属きのこのうち、ツチグリニセショウロは毒性試験を行うに足る量が確保できたため、水抽出物、およびメタノール抽出物について、マウスに対する毒性試験を行った。しかし、大量に投与を行っても、経口投与による毒性は見られなかった。ツチグリニセショウロは毒とされているが、マウスに対する経口投与では毒性を示さなかったことから、ヒトに対して毒性を示すものが含まれていたとしても、消化過程で変性しやすいタンパク質などではないかと考えられる。
|