本研究課題は、災害被災地に関する新聞記事、写真、聞き取り調査などの多様な情報を位置情報を用いて1枚の地図上で迅速かつ簡便に表現する「災害地域情報プラットフォーム」を構築するための基本的な制度設計を行うものである。 西スマトラ地震では日本の緊急救助チームなどが被災地入りしたが、現場では被害と救援活動の全体像が見えないために効果的な救援活動が行えなかったとの声が聞かれた。現場では情報収集しにくいことに加え、英語による情報収集では得られる情報量に限りがあることなどの背景がある。本研究課題が構築している災害地域情報プラットフォームは、現地語情報を収集して地図上で示すことで、被害と救援の状況を把握しやすくするものである。本研究課題が構築するプロトタイプをもとに、情報の収集および翻訳の自動化を行うことで、より簡便かつ迅速に災害地域情報の収集が可能になる。 今年度は、 (1) 現地新聞の一般報道情報に位置情報を添えたデータベースの構築 (2) 被災地の写真や聞き取り調査に位置情報を添えて前項のデータベースに追加 の2つの作業を行い、被災の記録と記憶を地図上で表現可能にする災害地域情報プラットフォームのプロトタイプである「震災アーカイブ」を作成した。 研究計画時においては、2004年スマトラ沖地震・津波の被災地であるインドネシア・アチェ州の災害地域情報を用いてモデル化することを構想していたが、研究実施中の2009年9月に西スマトラ地震が発生したことにより、2009年西スマトラ地震の災害地域情報を用いてプロトタイプを作成し、ウェブサイト上で公開した。
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