研究課題/領域番号 |
21651105
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
大山 修一 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (00322347)
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研究分担者 |
小崎 隆 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (00144345)
堀 信行 奈良大学, 文学部, 教授 (40087143)
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キーワード | サヘル / 民族共生 / 砂漠化問題 / ニジェール / 土地問題 / 干ばつ / 食糧問題 / 社会貢献 |
研究概要 |
西アフリカ・サハラ砂漠の南縁に位置するサヘル地域では毎年、雨季になると、農耕民と牧畜民(フラニ、トゥアレグ)が放牧地をめぐって各地で衝突を繰り返している。ときに武力衝突によって、双方に死傷者が出ることもある。本研究計画では、雨季における農耕地の分布と牧畜民の放牧形態を調査したうえで、農耕民と牧畜民のあいだで武力衝突が起きる要因を明らかにし、武力衝突を避けるための方策-とくに劣化した共同放牧地の修復・復活と家畜囲いの設営を提案していくことを目的とする。本年度、実施した研究は以下の通りである。ニジェールにおける農耕民と牧畜民の共生関係について調査を実施する前段階として、1950年の航空写真を判読した。判読結果によると、休閑地や草地が多く分布するなかで、トウジンビエが栽培されており、休閑期間が設けられていた。2009年には、調査村の可耕地はすべて耕作地として農耕民によって開墾されており、毎年、トウジンビエが連作されていた。耕作地の拡大によって、牧畜民が家畜に食草させる草地が減少しつづけていることが明らかとなった。村の古老からの聞き取りによると、インゼルベルグ(孤立残丘)の緩斜面(ペディメント)部分は、1950年代まで牧畜民の共同放牧地であったが、放牧地の管理努力の欠如により、表層土壌が流出し、荒廃していったことが分かった。2009年現在では固結した堆積岩が露出し、植物が生育しえない荒廃景観を呈していた。耕作地の拡大、荒廃地の発生にともなって、牧畜民が利用しうる放牧地が不足している現状が明らかとなった。次年度には、ペディメントの部分に都市の生ゴミを施用し、生育してくる草本に対する牧畜民の認識、および土地の所有形態、緑化プロジェクトの立案の可能性について検討していきたい。
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