本研究は、(1)日本のレズビアンがこれまで、米国・豪州で実現している生殖補助技術を用いた妊娠・出産・家族形成のライフコースをモデルとするようになった経緯が、書誌的研究により明らかになること、(2)日本におけるレズビアンの妊娠・出産・子育てに関して、現状調査に基づくグラウンデッドな理論が抽出されること、(3)この理論について、米国及び豪州のレズビアンヘルスサービスの専門家のヒアリングをおこない、日本における独自性を検討することを目的に行った。これまで、平成21年度から22年度にかけ、国内の文献検討と婦フィールドワークを行ってきた。平成23年度は、これらに基づき、日本のレズビアン及びレズビアンマザーの子育てについて、その状況を米豪と比較するために、国外の研究者と意見交換を図ることを、主な研究活動の内容とした。 まず豪州においては、Melbourne大学医学部Ruth McNair博士他1名の研究者から、ヒアリングを行い、また現地調査を行った。その結果、日本と豪州(Melbourne)では(1)レズビアンactivityの点では共通した活動が実施されているが、豪州では育児期間中のレズビアンのpresenceが見えにくい状況にあること、(2)研究の実施状況は豪州の方が多くに研究がなされているものの、研究者数などは米国と比べ日豪は比較的似ていること、(3)挙児希望のレズビアンに対する医療サービスの充実はMelbourneの方が進んでいる(クリニックの開設年度から見て約20年の差がある)こと、が確認された。 一方、米国でのフィールドワークは平成24年度に実施する計画までを遂行し、平成23年度は終了となった。(平成24年度、5月に米国San Franciscoでのフィールドワークと研究者インタビューを実施した)
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