今年度は、人形劇の演題の選定を行い、コンテンツを制作したうえで、実際にマンガ吹き出し風のセリフを提示するためのレーザーデバイスを用いて、人形劇を上演した。 人形劇の演題選定の際には、デバイスが2セットしかないため、登場人物数が二人であることという制約があった。演題は、将来的に国語教育の教材としての可能性があり、著作権フリーでもある「注文の多い料理店(宮沢賢治)」にした。この演題について、背景画像や周辺人物はデジタルコンテンツで制作し、液晶プロジェクターで投影した。人形はレーザーを照射するため、パネルボードを用いて平面的にデザインした。さらに、ストーリーに合わせて人形の表情が変わるように、面と裏で異なるデザインを行い、合計12体制作した。レーザーデバイスはそれぞれの人形用のセリフと効果音やグラフィックを提示するために2セット用意した。レーザーデバイスは東京工業大学からお借りした。これらを用いて、実際に筑波技術大学の映像演習実験室において人形劇の上演を行った。 人形劇の鑑賞は筑波技術大学1年生15人の参加を得た。鑑賞後にアンケートを実施し、ITC技術を用いたマンガ風人形劇の評価を得た。鑑賞後に鑑賞者が好きなセリフを自分でデザインする実験を行った。これらの実践と実験の結果は現在解析中である。 今年度、得られた知見から、次年度に向けて、耳の不自由な人もそうでない人も、共に楽しめるマンガ風人形劇の要件をまとめ、次年度のよりよい上演に向けて取り組む計画である。 なお、この研究により、デフパペットシアターとの交流を行うことができた。人形劇の専門家からアドバイスを受けながら、さらに研究を推進していく予定である。
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