17世紀後半に東インド会社によってイギリスに持ち込まれた紅茶や陶磁器などの茶道具は、富裕層にとっては自らが上品でポライトな階級に属していることを示すための重要な物質文化を形成した。紅茶や茶道具に熱狂する女性は17世紀から18世紀にかけての文学作品に数多く登場し、皮肉や揶揄の対象となる。さらに、女性の物欲の激しさは性欲の激しさと同一化される。聖書に始まる女性蔑視の伝統は紅茶と陶磁器という新たなメタファーを得ると同時に、「脆き器」としての女性はその激しい欲望を携えて消費文化の中を跋扈する存在となるのである。
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