研究課題/領域番号 |
21652029
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
虎岩 直子 明治大学, 政治経済学部, 教授 (50227667)
|
研究分担者 |
北村 隆憲 東海大学, 法学部, 教授 (00234279)
|
キーワード | 法の語り / ナラトロジー / 陪審員制・裁判員制 / 会話分析 / エスノメソドロジー / 法とフィクション / 英国の裁判 / 歴史と物語り |
研究概要 |
本研究の目的は「法」と「文学(映画・テレビドラマ)」との関係を<ナラティブ>による共同体の文化表象という同一性において捉え、法のナラティブ的規範性と文学の想像的ナラティブとの異種交配のトランスレーション過程から、新たな共同体の倫理を探求するということであり、文学テキストと実際の法行為をナラティブとエスノメソドロジーの観点から分析するということが主たる方法である。 本年度、研究代表者は、「実施計画書」では19世紀後半から20世紀初頭の法に関わる文学作品を分析研究する予定であったが、「偽証」を含む「証言」を記すという形で過去の重大事件を回想する「語り」と、その「証言」の真偽を考察する「語り」という二つの語りで構築されている現代小説(2008年)を計画通り、夏季にイギリスに滞在し、イギリスの裁判を傍聴し、実際法廷での「語り」の考察例を用意し、バリスター兼ジャッジのClaire Jenkins氏のインタヴューも行った。このインタヴューの概要は平成22年度にまとめて出版する予定だが、現実の法廷と一般市民のイメージを形成するフィクションの法廷の差異に言及しており、フィクションと現実の法行為の反射関係を考察する本研究に重要なものである。 研究分担者は「"生ける法(Law in Action)-エスノメソドロジーの視点から)」「"ラディカルな"弁護士の法律事務所という現象」「クライアントに有罪答弁をするよう説得すること」(すべてマックス・トラバース著)の翻訳を出版して実際の法行為のナラティブ分析の重要な参照項を用意した。また、介護保険のテーマではあるが、ビデオ録画データに基づくエスノグラフィー的、エスノメソドロジーによる研究分析を実際行った。これは、法行為ヘエスノメソドロジー的アプローチに繋がっていくものである。
|