研究課題/領域番号 |
21652029
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
虎岩 直子 明治大学, 政経学部, 教授 (50227667)
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研究分担者 |
北村 隆徳 東海大学, 法学部, 教授 (00234279)
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キーワード | 法のナラティヴィ / 文学のナラティブ / エスノメソドロジー / 会話分析 / 想像力と倫理 / 記憶 / 癒し / 医療面接 |
研究概要 |
本研究は、イギリスの法廷における「法」行為のくナラティブ>と「文学・映画などフィクションのナラティブ」における「法」とを比較研究して行くことで、実際の「法」行為の<ナラティブ>と「文学・フィクションのナラティブ」との相互作用、反射関係について、エスノメソドロジーに基づく会話分析・言説分析>という文学領域では新しい方法論を利用して、実際の法廷言説とフィクションの言説とを、経験的に分析することに依拠しつつ、多文化社会の新たな「モラル」構築への方向性を探求する点で、斬新な特徴と意義を有する研究となることを目的とした。 23年度、本研究代表者は4月、英国サセックス大学で開催されたSocio-Legal Studies Associationの学会に参加し「法」と「文学」学問領域横断的な研究の重要性と有効性を再確認した。とりわけ「記憶」によって過去の罪が議論されるということ、他者(異文化など)への「想像力」が将来の法の改正につながる可能性など、「倫理」を検討することについて、20世紀末以降とりわけ注目されてきている「記憶」「想像力」の役割に着目した。その観点から、7月ベルギーで開催された国際アイルランド文学学会では北アイルランドの作品を取り上げて「文学」による「罪」の「解放」と「癒し」について論じた。 共同研究者は主としてエスノメソドロジーと会話分析の研究方法を使った相互行為論的な法社会学の観点から、日常的ナラティブと法的ナラティブとがせめぎ合う場所として、法律相談や裁判員評議を取り上げてそのビデオデータの詳細な分析から、市民の日常的想像力(常識的推論)と法的想像力(法的論理)との反射関係の一端を検討することができた。こうした研究から得られた知見は、法とフィクションにおける相互反映関係の検討へと展開させることができるだろう。
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