21年度には、スエーデンの国際海事大学、フィリピンのアジア・太平洋海事大学、中国の大連海事大学に赴き、さまざまな誰りの海事英語の録音に従事した。スエーデンでは、14カ国16名を録音、フィリピンでは学生23名、船舶職員14名、中国では、学生30名を録音できた。 フィリピンのアジア・太平洋海事大学では、船で使われる典型的なフレーズを読むばかりでなく、元船舶職員の教員に、船上での体験談を自由に録音してもらうこともできた。教員としての立場から、将来船上で働くことを目指す学生達がなんらかの教訓を学べるような話を依頼した結果、実に興味深い録音が得られた。このプロジェクトは今後も続ける予定である。 これらの録音を、海事英語の授業に活用し、さらにインターネット上で公開すれば、日本のみならず、世界中の船舶職員養成機関で学ぶ学生が、訛りのある英語をよりよく理解する助けとなるはずである。 また、海事英語の語彙学習を促進するため、海事英語データベースの中から重要な語義と例文を選び、モデル発音としてイギリス英語とアメリカ英語話者による録音を完成させ、この録音を生かした海事英語語彙学習ソフトの原型を完成させた。 世界の海事英語教員の学会である、国際海事英語協議会(International Maritime English Conference)のポーランドにおける国際大会では、この学習ソフトのプロトタイプを発表し、日本語の部分を使用者の言語に合わせて変更する方法を紹介すると同時に世界中から集まった学会参加者からも訛りのある英語を録音した。この録音も、インターネット上で公開する予定である。
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