(1) 専門分野に特化した「レキシカル・バンドル」の抽出を行うには、その分野の電子化された資料が不可欠である。平成22年度は、平成21年度に検討した資料収集方法に更なる検討を加え、一部の専門文献の収集を行った。 (2) コーパスを用いた「レキシカル・バンドル」抽出に関する研究は、まだその歴史が浅く、文献も多くない。「レキシカル・バンドル」はコロケーションを拡張した概念であるから、コロケーションに関する概念整理と「レキシカル・バンドル」との相違を明らかにすべく、文献調査を引き続き行った。同時に、関連するphraseology(「慣用連語」と訳されることが多い)に関する文献調査を行った。また「フレイジオロジー研究会(Japan Society for Phraseology)」に所属し、同研究会の研究集会に参加し、同分野の研究者との意見交換を行った。 (3) 「レキシカル・バンドル」の抽出には、n-gramというツールが有益である。これはコーパス中から2回以上、出現する2語以上の連鎖を網羅的に抽出するコンピュータ・プログラムである。工学系の論文も参照しつつ、使い勝手がよく巨大なデータに対応するngram作成方法を検討し、実際に抽出を行った。膨大な時間はかかるものの、巨大データからの抽出が可能であることを確認した。 (4) 代表者の滝沢は、「レキシカル・バンドル」に力点をおいた記事を、朝日新聞社刊行の英語学習者向けのAsahi Weekly紙において連載(隔週連載)した。連載のタイトルは「コーパスで学ぶ本物の英語」である。この連載は、平成19年4月以来、4年にわたって行い、平成23年3月をもって終了した。
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