日本では2009年4月から6月にかけて調査を行った、群馬県の玉村中央小学校の事例を取り上げる。ここではJSLの教室での観察、このクラスを担当している外国人と日本人教員と校長、以前このJSLのプログラム/類似のプログラムに参加していた3人にインタビューを実施した。 ブラジルでは2009年7月から8月にかけて、日本で生まれ育った/大半の期間を日本で育った5歳から14歳の子どもたち24人と彼らの両親または保護者、教師、校長にインタビューを行った。このデータをより理解するために、日系コミュニティのなかで(ブラジルに)帰国した子どもたちの再統合をサポートしているリーダーたち、特にKAERUプロジェクトの責任者たち、にもインタビューした。 その結果、報告者が日本でかってインタビューした3人のJSLの参加者は、3人ともポルトガル語を維持したことで(ブラジル社会においても)好ましい状況にあることが明らかになった。ある子は、玉村で公的ではないが教師がポルトガル語を教えてくれたおかげだと答え、別の子は母親が個別に教えてくれたおかげだと答えた。ブラジルでの生活経験を何度か繰り返したことが良かったという子もいた。 ブラジルでインタビューした24人の生徒のうち、日本でブラジル人学校またはインターナショナルスクールに通っていたことによってポルトガル語を維持してきた14人は、ブラジル社会にうまく適応し、学力的にも問題はなかった。しかし、日本の学校だけにしか通っていなかった生徒、あるいは大半の期間を日本の学校に通いポルトガル語を維持していなかった生徒は、社会的に孤立し、授業についてゆけず、彼らをサポートする特別なプログラムもなかった。インタビューに答えてくれた全員が、日本の公立学校におけるポルトガル語維持のためのクラスの必要性を訴えた。
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