1.平成23年度は平成22年度までに入力した「日英パラレルコーパス」の日本語の例文のチェックとその英語訳をおこなった。 平成22年度までに全部で3181例文(日本語)の入力を終えた。この例文はALTとのスピーキングテストや冬休みを話題にしたチャットで中学生、高校生が英語で表現したかったけれども英語で表現できなかったことについて日本語で書いてもらい、その日本語表現をコンピュータに入力したものである。この3181例文(日本語)のうち1035例文については英語訳も完成しており、EasyKWICという検索ソフトによってWeb上で公開されている(15.備考を参照)。 平成23年度は、3181例文(日本語)のうちデータの確認作業中に重複してデータを入力した箇所が見つかったため、重複箇所の削除を行い、最終的には3054の日本語の例文入力が完成した。また、1036~2165までの1130の日本語の例文の英語訳も完成した。 2.3054の日本語の例文とその英語訳からなる日英パラレルコーパスから見えてきたこと 平成23年度は、なぜ学習者が英語で表現できないのか、下記項目に絞って、その解決策について具体的な提案をおこなった。 (1)日本語の発想を英語の基本的な文型や語順の枠組みではどう表現したらよいか(例:主語、動詞、目的語などの並べ方の順序) (2)日本語の発想を英語のルールに近づけてどう表現したらよいか(例:接続詞・比較・受け身形・後置修飾(関係代名詞)・仮定法など) (3)日本語の独特な表現をどう説明したらよいか(例:食べ放題、立ち読み、家でごろごろしていたなど) (4)日本独特な文化についてどう説明したらよいか(例:ひな祭り・七五三など) これらの解決策は本研究で開発した日英パラレルコーパスを活用した研究のほんのスタートに過ぎない。今後、多くの切り口が見出され、中学、高校の英語指導に役立つものと確信している。
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