本研究で2年目を迎え、大学教師や教職課程の学生を授業改善に導くことを可能にする英語の技能別授業のための授業観察シートと手引書の完成を目指して研究してきた。シートと手引書の有効性について研究発表を通して一定の評価を得てきた。 しかし、これらのシートが使用されない限り、個々の教師の授業改善の機会が乏しいことから、自発的に、教師が授業改善の視点を毎回の講義の後に持つことができる機会を提供するための教師用ポートフォリオを開発した。このポートフォリオは第3者に見せることが目的ではなく、使用者自身の内省を導くことを主眼としている。また、このポートフォリオは、研究者が開発した学生用ポートフォリオと併用することにより学生の理解度や意欲、成長等が確認できるよう工夫している。研究者が実際に2つのポートフォリオの併用を重ね、毎学期改善を重ねている。このポートフォリオに関する大学や教師の関心が高く、JACET関西支部大会においてシンポジュームのパネリストとして招待され、さらに第17回大学教育研究フォーラムにおいて採択され発表を行った。出版社からもポートフォリオの出版の声をかけていただき次年度の活動にてより充実したものとなるよう研究を進める。また、大学教師に実施した意識調査から授業「改善」という言葉に抵抗がかなり強いため、その抵抗を緩和し、より改善の為の土壌を確立するため教授法研究を取り入れたプロジェクト開発を取り入れており、授業観察シート・ポートフォリオが有効に利用される環境つくりのための研究を進める。
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