本研究は、グローバル・ハウスホールディング(越境する家庭形成)を、社会科学の分析対象として確立することを企図した。「ハウルホールド=家庭」は概念的に血縁家族よりも広く、その射程に、国境を越える家事手伝い、介護士、乳母、オーペア、国際養子縁組・結婚などを収めている。本研究では、東アジアに焦点を当て、先進国内で男女平等化と少子高齢化が進行する時代において、ケア労働の担い手が国際化し、それを介して「家庭」が国境横断的に形成される現象を取り扱った。そのことで、一方でグローバル化や国際関係の研究を進化させ、他方でジェンダーやエスニシティ、福祉や労働の研究との接合を図る。また、政策提言に向け、その基盤形成を図らんとした。
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