実用に耐える「旅日記カード・システム」の準備設計を行った。まず、観光客に帯同させる携帯端末をどのようなものにするかを検討したが、単なる実験に止まるのでなく、次年度以降の本格的調査に十分堪えうるものとして、今後普及が期待され、高精度での位置情報取得アプリケーションを組み込めるスマートフォンタイプの市販端末を主として使用することにした。つぎに、アプリケーション開発の元となる位置情報取得システム技術として代替的ないくつかの方法原理を比較検討した結果、やはり最近急速に普及している無線LAN基地を活用して電波の強度分布データに基づき位置を推定するRSSI方式が優れているという結論に達した。 以上の準備に基づき、ソフトウエア開発に着手し、それに必要なコンピュータ並びに端末機器を入手し、昨年度末以降、アプリケーション開発のプログラミングを開始した。その際大変参考となる先行実験例があり、それに関する資料も入手したところである。この調査研究にとって欠かせない個人位置情報取得技術の進展は、この一、二年で思った以上に目覚しいことが分かり、本研究を予想以上に推進できる見通しがもてた。 他方、次年度に取り組む予定の調査実施について、これに協力を申し出ている外部組織との打合せ重ねてきた。双方の準備態勢や条件が整えば、地域の観光地を対象にした比較的大規模な調査に乗り出せる可能性も出てきた。
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