1. 概要 中小企業の資金調達を円滑に進めるために、知的資産(技術やアイデア、ブランドやネットワーク、経営者のマネジメント能力など)を評価した長期の投融資するシステムを検討する。具体的な手段として私募債の活用を検討している。21年度は、中小企業金融の実態を把握するため、銀行や信用保証協会などの金融機関に対するヒアリング、および、私募債発行企業に対するアンケート調査を実施したが、22年度はアンケート調査の結果を分析するとともに、私募債発行企業と知的資産経営報告書作成企業との間で、知的資産の開示動向に関する比較分析を行った。さらに、知的資産の開示の信憑性を高める要因を把握するために、金融機関や信用保証機関に対するアンケート調査を実施した。 2. 私募債発行企業と知的資産報告書作成企業との比較分析 私募債発行企業(約1500社)に対しアンケート調査を実施し338社から回答を得るとともに、知的資産経営報告書作成企業のうち、京都府の知恵の経営認証企業(25社)に対する意識調査を実施した。その結果、知的資産経営報告書作成企業は非財務情報の信憑性を高める工夫を講じているものの、私募債発行企業は非財務情報の開示は必ずしも十分ではなかった。ただし、金融機関の関与によって非財務情報の開示ウェイトが高まることを明らかにした。また、非財務情報開示の信憑性に影響する要素や方法を明らかにするために、金融機関(604件)に対し、新たにアンケート調査を実施した。
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