研究概要 |
ユーザーイノベーションの基礎となる,イノベーティングユーザーの普遍的な特徴を抽出するために日本の登山市場および日常品市場においてユーザーイノベーションの調査を行い特徴の分析を行った。 また,ユーザーイノベーションのための市場モデルの基礎となる枠組みであるCAMCaT(Coevolutionary Agent-based Model for Consumers and Technologies)を使い,市場における標準化問題をモデル化し,企業の戦略が市場のダイナミクスに及ぼす影響についてシナリオ分析を行った。 CAMCaTの枠組みを基礎として,エージェントベース社会シミュレーションを用いて,ユーザーイノベーションが生じる市場における動的な状況変化を分析するための枠組みを構築した。本枠組みを利用することで,現実市場で観測困難なユーザーの購買機会の損失やユーザー間のユーザーイノベーション伝播といった現象を可視化することが可能になり,企業は自社のユーザーイノベーション活用戦略を実施前に評価することができる。本枠組みの有効性を検証するために,2つの製品開発戦略シナリオを用いて,市場状況変化の傾向とその傾向が生じるメカニズムを考察した。 さらに,モデルの有効性を補完するために,これまで具体的なケースで試行錯誤的にのみ行われていたリードユーザーの探索について,新たなリードユーザー探索方を提示し,ゲーミングシミュレーションの方法によって検証し,情報伝播の観点からリードユーザー探索の成否について考察を行った。
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