研究概要 |
まず日本でのユーザーイノベーションの生起と特徴を確認するために,日本の登山市場およびマウンテンバイク市場でユーザーイノベーションの調査からイノベーティングユーザーの普遍的な特徴の分析を行った。それにより日本の登山製品市場におけるイノベーティブユーザーとノンイノベーティブユーザーとを区別する判別関数を同定し,また,マウンテンバイク市場におけるリードユーザーの行動特性を分析することができ,ユーザーイノベーションのメカニズムを解明するためのエージェントモデルの構築が可能になった。 実証分析の結果に基づいて,消費者と企業が動的に相互作用し,市場における動的な状況変化を分析するための枠組みを構築した。本枠組みを利用することで,現実市場で観測困難なユーザーの購買機会の損失やユーザー間のユーザーイノベーション伝播といった現象をエージェントベースモデルにより可視化した。 本枠組みの有効性を検証するために,2つの製品開発戦略シナリオ,すなわち伝統的な市場調査の手法と,ユーザーイノベーションを活用する手法を用いて,4つの市場状況市場状況シナリオとの組み合わせて,市場変化のマクロ視点からの分析を可能性のランドスケープにより分析し,またその変化の傾向が生じるメカニズムをミクロ視点から考察した。 本研究の枠組みによるエージェントベースシミュレーションを用いることで企業は自社のユーザーイノベーション活用戦略を実施前に評価することができる。
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