研究課題/領域番号 |
21653040
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
吹野 卓 島根大学, 法文学部, 教授 (70228873)
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研究分担者 |
江口 貴康 島根大学, 法文学部, 准教授 (10248601)
片岡 佳美 島根大学, 法文学部, 准教授 (80335546)
福井 栄二郎 島根大学, 法文学部, 准教授 (10533284)
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キーワード | 過疎化 / 高齢化 / 共感 / 夫婦ライフスタイル |
研究概要 |
本研究は、学生による「聞き書き文集」の発行という試みを通じて、過疎高齢化が進行する集落共同体における共感形成の問題について考察していくことを主たる目的としている。 計画に従って、21年8月に島根県隠岐の島町中村地区で学生を調査員とする第一次調査を実施した。その後「聞き書き文集」の作成と配布を経て、翌3月に研究代表者と分担者が当該地区を再訪問し文集が地区内でどのように読まれたか等に関する聴き取り調査を行った。これらの一連の調査を通じて、例えば、以下のようなことが判明した。 隠岐は、離島という地理的条件により戦争体験世代も高い比率で島外での生活を余儀なくされ、そのため高齢のUターン経験者が多い地域となっているようである。今回の調査では、このような島外での生活時期について、近隣の住人同士でも意外と知らないこと(あるいは「文集」という媒体によって「意外と知らない」という意識が生じること)が、判明した。また一方で、人生体験をもとに「文集」を作成していくという作業は、家族の歴史を物語化していくものであり、夫婦が互いの立ち位置を再確認していく契機となることも判明した。 このような「文集」の効果は極めて繊細なものであるが、今後より深い聴き取り調査等をつうじて考察を進めるところである。
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