交付申請書に記載した平成21年度の計画項目はすべて実施することができた。つまり、参考文献の収集、インタビューの項目作成と実施、関連学会、研究会への出席、アドバイスを求めるなどのことができた。最も重要な作業であるインタビューも無事に終えることができた。インタビューはすべて書き起こした。まだ、詳しい考察は行っていないのではっきりしたことはわからないが、前回の6年前の調査からインフォーマントらのアイデンティティに大きい変化があったことがわかった。4人のインフォーマントの来日は1985年で、当時、11歳~14歳であった。その後、1995年、2003年と2回にわたりインタビューを行い、いずれの調査においてもそのアイデンティティに大きい変化が見ちれた。そして、今回のインタビューは来日後、24年目である。インタビュー前は、はたして前回の調査からの6年間の間に変化が見られるのか多少心配ではあったが、予想以上の変化に驚いている。2年目である平成22年度にはしっかりとした考察を行い、その成果を学会等での発表、または学会誌などへの投稿という形で伝えることができればと考えている。さらに、インタビューを続けているうちに、インフォーマントの中に、インタビューを受けるばかりではなく自分の心の変化を自分自身で書きたいというものがあらわれた。そこで、執筆依頼をすることにした。書きたいと言ったインフォーマントは非常に忙しく、執筆のためのまとまった時間がとれないとも考えられるが、インタビューからは得られない貴重なアイデンティティについての記述が得られるのではないかと期待している。
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