新しい研究手法を裏付けるために、以下のような調査・検討を行った。(1)談話理論・連想辞書:特に物語的な談話における文章の連接関係に関する分析を行い、物語の知識構造から論理構造によって物語が展開する推理・探偵小説を素材とした場合の応用可能性を検討し、連想辞書に関する研究動向を概観した。(2)情報コンテンツ表現論:Webの表現方式について既存の表現技法等との関連における調査を行いblogや配信システムを含む新技術の応用可能性を検討した。(3)物語論・文学理論:「The Theory」として文化一般のメタ理論を志向している「文学理論」の発展を検討した。(4)現地調査:フィクションにおいて出来事の舞台となる都市や施設を実地調査することは、文献や理論のみに依存しがちな空疎な研究課題とならないために是非とも必要である。本研究の場合、テクストとしてのフィクションから自然言語処理の技法によって言説や事項を抽出することを目指すが、一方で抽出したものの検証が必要となる。テクスト執筆時点との時代的な隔たり、技術の進展などを具体的に対比することを目的として、平成21年度は調査対象を選定し、成果を研究全体と有機的に結び付けられるよう予備調査を行った。(5)テレビの時代:本研究の時間軸が狭義にはパソコン通信時代(1980年代)以降という比較的短いスパンであるので、比較及び補完のために新聞のテレビ番組欄を精査することでローカルなテレビ番組の歴史を把握した。過去のテレビ番組欄が電子化されることは殆ど考えられず、オンラインの記事データベース検索では不可能なので上記現地調査と連動して資料収集を行った。
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