研究概要 |
介護保険施設等の入所施設において高齢者虐待が生じた場合、市町村が虐待の事実確認調査を実施し、虐待あるいは不適切なケアが確認された場合は改善指導を行う。そのため、市町村が適切に高齢者虐待に対応することは、被虐待高齢者の人権に直接的に関わる重要な課題である。しかし、国の高齢者虐待対応マニュアルである『市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について』を見ても、施設虐待への対応については数頁の記述があるだけで、具体的な対応については記載されていない。また、施設虐待に関する研究も虐待が生じた施設や虐待を行った職員に関するものがほとんどであり、虐待に対応する市町村の施設虐待への対応能力の工場に関する研究はほとんどない。 そこで施設虐待に対応する市町村の実態と課題、支援の必要性を明らかにするため、平成21年12月に全市町村(1963ヶ所,特別区・政令指定都市の区を含む)、および都道府県(47ヶ所)を対象として調査票を用いた郵送調査を実施した。市町村調査は回収数748票(38.1%)、都道府県調査は回収数35(74.5%)であった。ただし、返送された調査票を確認したところ、政令指定都市の区は施設虐待への対応は行っていない実態が明らかになったため、政令指定都市の区を除いた735票を有効票とした。都道府県については返送された35票を全て有効票とした。 平成21年度は調査実施と、調査結果を入力しデータベースを作成することろまでを予定していたが、当初の予定通り、市町村調査のデータベースと都道府県調査のデータベースを作成した。
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