集団間関係研究の新しい方法として仮想世界ゲーム電子版の開発を試みた。本年度は次の2点を実施した。 (1)ゲームのプログラム表記の分析 電子版システムに要求される機能・インターフェイスを検討するために、同ゲームのルールブックの精査および、従来の仮想世界ゲームの実験状況や参加者へのディブリーフィング後のインタビュー記録からゲームプレーヤーの行動分析を行なつた。これらの分析結果を元にして、それぞれのルールのシステム内部での表現方法や、ゲーム全体およびプレーヤーと進行係のそれぞれに対して提供されるべき機能・インターフェイスについて決定した。 ここで得られた分析結果は、システムをマルチエージェント化する際のエージェントの行動パターンや動作条件を決めるための基礎データになる。電子版の実験では言葉や行動すべてのやりとりを記録できるようになるため、エージェント化に向けてさらに詳細な行動分析を行うため今後使われる。 (2)システム設計 ルールの内部表現や、必要な機能・インターフェイスを提供するために、具体的にシステムをどう構成するか、それぞれのルールや機能に対してどんなデータが必要で、どう処理していくかを明確にした。 また、従来の仮想世界ゲームにおける進行係の役割のうち、ゲームの制御のようにゲーム実施者(実験者)が関与するものと、地域間移動の管理や投票結果の集計といったシステムが自動的に応対できるものを区別し、後者については自動化し実験者の負担の軽減を図った。
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