研究概要 |
この研究では,(1)説明的文章の読解に関するメタ認知的知識を記述するツールを開発し,児童生徒の説明的文章読解の発達的変容を調べること,(2)読解指導に関するメタ認知的知識を測定するツールを開発し,教員志望学生や教師を対象として,熟達化に伴うメタ認知的知識の変容を調べることを目的とする。2年目として,以下を実施した。 1.児童の説明的文章読解のメタ認知的知識測定ツールの開発:初年度に,読解方略質問紙(犬塚,2002)をもとに,小学生用の読解方略質問紙(質問項目数28個)を作成し,小学校4,5,6年生368名を対象として,読解方略使用と読書経験との関係を調べる調査を実施した。各学年の方略使用の実態及びそれぞれの学年における読書経験と方略の使用との関係について分析を継続中である。 2.大学生を対象とする説明的文章の産出方略使用実態調査:文章産出過程を,文章読解と表裏一体の関係にあると考えて,大学生を対象に,文章産出方略の使用実態を測定する尺度を開発した。尺度は,実際に説明文を産出した直後に収集した内省プロトコールと読解方略質問紙(犬塚,2002)等の項目を参考に構成し,因子分析によって5因子構造の尺度を作成した。また,尺度の妥当性の検討として,実際に産出された文章の適切性の評定と方略使用の関係を調べたところ,両者に関連が見られ,尺度の妥当性が示唆された。この尺度を用いて,小学校教師を志望する学生を対象に,小学生の補習的な個別指導(認知カウンセリング)の経験年数と説明的文章産出方略の使用との関係を調査した。これらの成果の一部を「説明文産出におけるメタ認知的知識の構造」として所属機関の紀要論文にまとめた。
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