研究概要 |
この研究では,(1)説明的文章の読解に関するメタ認知的知識を記述するツールを開発し,児童生徒の説明的文章読解の発達的変容を調べること,(2)読解指導に関するメタ認知的知識を測定するツールを開発し,教員志望学生や教師を対象として,熟達化に伴うメタ認知的知識の変容を調べることを目的とする。最終年度として,以下を実施した。 1.児童の説明的文章読解のメタ認知的知識測定ツールの開発:小学校4,5,6年生368名を対象とする読解方略使用の実態及び読書経験と方略の使用との関係についての調査結果を分析した。また,国語科における読解指導と児童の方略使用との関係を調査した。以上について,現在,発表準備中である。 2.大学生を対象とする説明的文章産出方略の使用実態調査:大学生を対象に文章産出方略の使用実態を測定する尺度を開発した。この尺度を用いて読み手(説明の受け手,大学生と小学生の2条件)の要因と方略使用の関係を調べ平成23年度の中国四国心理学会大会において発表した。 3.児童への学習指導経験が説明文産出に及ぼす影響の調査:2で作成した尺度を用いて,教員志望の大学生を対象として,小学校児童を対象とする学習相談(認知カウンセリング)においてカウンセラー等を経験することが方略使用に及ぼす影響を調べた。小学生に実際に学習指導を行うことによって,説明文作成方略のうち,説明対象を具体的に述べるための方略の使用頻度が高まることが見出された。この成果は,平成24年度の教育心理学会総会において発表する。 4.手続き的説明文の読解方略に関する研究:手続き的説明文(マニュアル文章)の読解方略使用を測定する質問紙を作成し,大学生を対象として作動記憶容量(言語性,空間性)と方略使用との関係を調べた。この成果については,発表準備中である。
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