昨年度に引き続き、名古屋市内にあるA産婦人科で2009年9月から11月の間に第一子を出産した女性に対し、子育てのために買った(あるいは、もらった、借りた)モノ、子ども連れで外出した場合の外出先と移動手段(徒歩、自家用車、公共の交通機関等)と同伴者、子どもを置いて自分だけが外出した場合の預け先と外出時間、自宅への来訪者などについて日記をつけてもらい、1ヶ月ごとの家庭訪問によりそのことに関するインタビューを行った。協力者は8名であった。 生後6ヶ月までのデータを分析した結果、予想通り、子どもが生まれてから少なくとも1~2ヶ月は外出がほとんどなされず、子どもを預けて外に出ることも困難であることが明らかになった。数ヶ月が経過すると、少しずつ子どもを連れて外出する日数も増えていくことがわかったが、車を運転できるかどうか、実家が近いかどうかなど、各自が置かれた生態学的な条件に応じて、出かける場所や同伴者の有無、人物に違いがあることもわかった。全体に、はじめのうちは子どもと二人で外に出ることは避け、他者を巻き込むことが多く、そうした「慣らし運転」ののちに、次第に子どもと二人での外出が増えていくことが確認された。以上のことは、子育て開始期の人たちへの支援のあり方を、その人の置かれた生態学的条件に応じて模索していくことの大切さを認識させる結果でもあった。 GPS機能付きの携帯電話を用いた調査については、昨年度のデータを分析するにとどまり、新たなデータ収集は行わなかった。
|