研究課題
本研究で、中学生が自傷行為を行う背景には境界例心性が見られることが明らかになってきた。自傷行為など問題行動がある境界例心性の高い中学生はやがて高校生になり、その心性が継続される、と考えられる。高校生と成長し学齢が上がることで、中学生時代よりも自身の幼児期をより客観的に捉えられるようになっている。そのことで、それまで受けてきた、親からの養育態度など、周囲が自身に向けた関わりについて尋ねることが可能になる。そこで、22年度は高校生を対象に境界例心性に関する質問紙調査を実施し、中学生との相違を明らかにしている。400人弱の高校生に無記名の質問紙調査を実施した。その結果、親からの虐待経験の有無により、境界例心性に差が見られた。さらに、男女においても差が見られた。虐待経験は「敵意」との相関も見られている。つまり、幼児期における虐待など、きわめて不適切な養育体験は、青年に成長していく中でも、その体験による後遺症を引きずっていることが明らかになってきた。つまり、予防プログラムは早期関係性に導入していく必然性が明らかになってきている。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
Journal of Traumatic Stress
巻: Vol.23, No.1 ページ: 173-177
International Psychiatry and Behavioral Neurosciences
巻: Year Book2009
横浜国立大学 教育相談・支援総合センター研究論集
巻: 第10券 ページ: 97-118