研究課題
本研究では難病患者ライフの記述方法を新しく提案することを目的とし、厚生心理学という新しい学問領域の創生を目指すものである。まず、国立新潟病院で療養中の筋ジストロフィー患者にQOL評価法のひとつであるSEIQOL (the Schedule for the Evaluation of Individual Quality of Life)を実施する試みを今年度も前年度、前々年度に引き続き継続中である。この方法は半構造化面接法を内包しており、従来のQ0L尺度とは異なり、患者が主体的に項目を生成することができる。本評価法を経時的に実施するのみならず家族などから情報をえることで、オープンシステムとしての患者のライフの変容を詳細に把握することを試みた。2011年9月には第5回日本緩和医療薬学会年会のシンポジウム「QOL測定の仕組み。特に難治性疾患における新しいQOLに注目して」において「緩和医療におけるQOL評価とは何か?」を発表、さらに2012年2月にThe 7th International Conference on Rare diseases&Orphan Drugsで"THE NARRATIVE PATHWAY TO AUTHlENTIC CULTURE OF LIVING WELL"を発表した。また、難病患者の生を時間の中で「ぶ厚い生」として描く方法論であるTEM(複線径路等至性モデル)については、2012年1月にイタリア・サレルノ大学、同3月にブラジル・バイア大学からそれぞれ講演・講習の依頼があり、国際交流を兼ねた成果の公表を実施した。最後に、一般社会への成果の公表に関して、2011年8月にこれまでの2年間と同様。日本学術振興会ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」を実施し小中学生に研究成果を伝えた。
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質的心理学研究
巻: 11 ページ: 96-114
立命館人間科学研究
巻: 第24号 ページ: 49-62
巻: 11 ページ: 81-95
http://www.arsvi.com/w/st11.htm