学校現場に即役立つ学校危機管理のための情報データベースモデル研究の初年度として、今年度は現場サイドから必要とされる情報の基礎研究とデータベース構築に向けた既存データベースの比較検討を行った。まず後者にむけて、学校危機管理に関わる事例を中心に既存法律系情報データベースとしてWestLaw Internationalデータベースを契約し情報検索ツールとしての機能を検討するとともに、既に東京学芸大学が契約締結している国内型法学系情報検索ツールである第一法規「法律情報総合データベース」を利用し、現場の教員がこれらの検索ツールを実際利用可能か否かの検討に入った。また前者の課題について学校現場で有意な情報をある程度特定化するべく、先行研究者を招いて行った既存研究の報告、検討をふまえ、学校現場の身近な具体例(例:遠足等イベント別、学期や学年別等)毎に現場教員の体感的な表現を重視した情報構築の必要性を確認した。また「学校危機管理の現状と課題を考える」と題して大阪教育大学大学危機管理メンタルサポートセンター藤田大輔教授による講演を開催し、現実に学校危難に直面した体験を共有し、危難の直後、中期的将来そして長期的将来の課題といった一つの事件がもたらす長期にわたる波及的な影響及びそれへの対応の必要性を再認識する機会を得た。現場教員からの情報の双方向的検討については、平成21年度東京学芸大学で実施した教員免許更新講習を利用し、学校危機管理について学習機会を提供すると同時に現場教員からの反応をフィードバックしてもらい、本課題研究に役立てることができた。教員免許状講習を通じた成果は、本研究連携研究者でもある、東京学芸大学講義支援用資料素材サイト運営者前田稔講師を通じ、同サイトに反映された。これら諸活動を通じ、平成22年度以降東京学芸大学成田喜一郎教授、東京学芸大学附属平井文香教諭を新たに本研究連携研究者に迎えることにつながった。
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