研究分担者 |
赤澤 宏樹 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (30301807)
藤本 真里 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 助教 (60311487)
山崎 義人 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (60350427)
客野 尚志 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (80322725)
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研究概要 |
最終年度となる平成23年度は,これまで実施してきた古写真と記憶の収集,およびそれを活用した古写真展の開催を通じた生涯学習の試行を継続し,その効果をとりまとめた。 古写真とその記憶を収集する手法として,(1)古写真の一時期借用,(2)博物館でのデジタル化,(3)提供者への返却,デジタルデータの使用許諾の取得および記憶の取得(アンケート),(4)地域での古写真展開催を通した記憶の二次データ,(他者の記憶)の収集が有効であることが明らかとなった。加えて,小学生による祖父母からの古写真と記憶の収集・発表,写真提供者による「語る会」の開催など,参画主体に対応したプログラムも開発した。これらの実施結果から,古写真とその記憶によって人と自然の共生関係を読み解き,成果を地域に還元するまでを様々な地域住民と共に行うことは,【収集】~【研究】~【活用】といった博物館活動のプロセスとあわせて全てが生涯学習の機会となりえることが明らかとなった。本研究の成果によって,国内のどの地域でも保存されている古写真を素材とした「住民参画型調査と相互学習手法の確立」の手法が確立されたと言える。 加えて,地域から収集した古写真を用いて,当時の居住環境や景観の形成過程を一定の精度で解読する手法を開発した。しかし,164点もの調査対象となる古写真がありながら,撮影場所と被写体の方向が同定できた27点に基づいた解読に留まった。今後は,広範かつ詳細に空問的変遷を解読し,それを博物館の生涯学習事業として地域住民へ提示することで,より広く共有・活用する手法を開発する必要がある。
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