研究分担者 |
北神 正行 国士舘大学, 体育学部, 教授 (80195247)
増田 健太郎 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (70389229)
都丸 けい子 平成国際大学, 法学部, 講師 (40463822)
大野 裕己 兵庫教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (60335403)
露口 健司 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (70312139)
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研究概要 |
本研究は精神疾患事由病気休職者の「発生率」が都道府県政令市ごとに大きく異なることに注目し,地域性による規定要因を検討し,その教育経営学的または社会心理学,臨床心理学的な改善の方策の探索を行った。教職員の聞き取り調査を5回,教育行政における聞き取り調査を4回,府県の産学連携によるストレス問診データ1万8千部(教諭,養護教諭,管理職,指導主事,教育事務職員からなる),平成18年度から平成21年度までの文部科学省分限処分調査統計について検討した。その結果を次に示す。(1)都道府県政令市の精神疾患事由病気休職者の発生率は年度によるぶれが激しい。これは病気休職だけでなく病気休暇等に関するルールが自治体により異なり,現在大きな改変期にあることによる。(2)精神疾患事由病気休職の発生率はて全国一斉学力学習状況調査と強い負の相関が確認され,同時に給食費未納発生率と中程度に強い正の相関が確認された。一方,生徒指導関連の諸統計とは明確な相関は示されなかった。(3)同一府県内においても義務教育段階では特定の小・中学校が,高校においては特定の学科(例えば定時制・通信制,総合学科など)が極端にストレス傾向が深刻で,この差は自治体間の差より大きい。(4)教職員の能力開発に関する自由記述調査で特別支援学校や小規模校,大規模校の勤務経験が自らの職能の安定性や充実感,メンタルヘルスに影響していた。これは都道府県政令市ごとの採用や異動などの人事体制がメンタルヘルスの課題に介入可能性を持っていることを意味する。今後の課題として都道府県政令市というマクロな単位の地域だけでなく,市区町村や学区というミクロな単位の地域の影響力を検討し,介入方法論がもっとも有効な地域の単位を定め,改善プログラムを具体化していく必要性を指摘した。
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