本研究では、途上国における教育政策評価がどの程度の有効性をもって実施されているのかについて、国際的な教育開発援助のイニシアティブである「万人のための教育(EFA)-ファスト・トラック・イニシアティブ(FTI)」を事例として、同イニシアティブにもとづく教育政策の策定・実施状況がどのように評価され、その評価が次のサイクルの政策形成過程においてどのような形で活かされているのかについて、実証的に明らかにすることを目指している。とくに、FTI支援対象国であるベトナムやカンボジアといったインドシナ諸国に焦点を当てることで、途上国における教育政策評価がいかにして行なわれているのかについての具体的な検証を試みている。 本プロジェクトの2年目として、とくに現在FTIにもとづく基礎教育政策の策定がダイナミックに進展しているカンボジアにおいて現地調査を行った。現地調査の結果は、現在データ分析を進めており、今年度に論文としてまとめる予定である。 また、昨年度に行った研究の成果物として、フィリピンにおいて育政策がどのように形成されたのかについて、「学力」問題と「愛国心」教育に焦点をあてて分析し、論文を執筆した。 今後、本研究の成果は、学術的な意義のみならず、国際機関や援助機関において活用されることも重要であると考えており、これまでに実務関係者との意見交換も積極的に行っているが、今後も研究成果の活用などについて幅広い立場の専門家たちと議論をしていく予定である。
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