研究概要 |
本年度は主として、1.教養女性の分析のための概念枠組の検討2.イギリスにおける理想的女性像としてのlady概念の変容についての文献・資料の収集3.フランスにおける理想的女性像としてのdame, honnetete femme概念に関する文献・先行研究の収集と検討を行なった。 1については、男性をモデルとした教養の歴史社会学的・文化史的研究の検討をふまえながら、教養女性の類型化・概念図式の作成と検討を行なった。それをもとに、近代日本の教養女性に適応した分析を試みると同時に、比較文化史的なアプローチとして適用する可能性についても検討した。2のlady概念については、1895年創刊のThe Lady誌を対象として、創刊から現在までの記事のなかから関連する記事の収集を行なった(イギリス・大英図書館及びThe Lady出版社)。また、女子パブリックスクールについて入手可能な学校史・パンフレット類を収集した。とくに、Cheltenham Ladies' College, Roedean School, St. Pauls' GIrls School, North London Collegiate Schoolについては、学校史・同窓会誌における関連記事の収集と整理を行なった。3については、フランス女性史、女子教育史、礼儀作法に関する先行研究・文献を収集し、フランスにおける理想的女性像の歴史と教育に関する基礎的な検討を行なった。 以上の作業から教養女性の比較文化的な分析をするための基礎的な概念図式をつくるとともに、比較研究を行なうための資料の収集と整理をある程度すすめることができた。これをもとに、次年度は継続して資料の収集と分析を行なう予定である。
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