研究概要 |
2年間に及ぶ本研究の1年目にあたる本年度は,日本型サービス・ラーニングの五つの必要条件(「地域社会の問題を教材化すること」「プロジェクト型の学習を組織すること」「振り返りを重視すること」「学問的な知識・技能の習得,活用する場面を設定すること」「地域住民の協働を重視すること」)の有効性を,アメリカ合衆国のサービス・ラーニング研究者及び日本の研究者や実践家と協議する中で確認する作業を行った。なお,具体的には,次の二つの研究活動に従事した。 第一に,アメリカの研究者と日本の研究者・実践家から意見聴取を行った。アメリカに関しては,電子メールを通じての協議を行った。当初は渡米して確認する予定であったが,年度当初に電子メールを通じて協議をする中で,上記に触れた五つの必要条件は日米に関係なく成立するものであるという確認を得ることができた。そこで,2年間という限られた時間を有効に活用するために今年度の渡米は控え,来年度の授業実践に向けて日本国内の研究者・実践家と数回にわたり面会調査を行った。その結果,日本の社会科の文脈においては,具体的な「参加」よりは「提案」を重視する方が,実践に結び付きやすいという意見を得ることができた。 第二に,筑波大学附属小学校を始めとする附属学校を中心に学校教員と協議を重ね,社会科における日本型サービス・ラーニングの実践化の可能性を探る作業を行った。例えば,附属小学校においては,交通まちづくり学習に関する授業実践を試験的に実施していただき,実践化にあたって生じるであろう問題点を洗い出す作業を行った。そこで明らかとなった問題点は,来年度に具体的な授業実践を複数行う際に重要な視点となるものである。
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