研究概要 |
本研究の目的は,小・中学校における総合的な学習を指導する教師に求められるコンピテンシーリストを国際的な視野で開発し,その育成モデルをワークショップ研修のスタイルで構想することにある。ここでいう「コンピテンシー」とは,「卓越した実践的指導力を峻別する行動レベルの指標」の意味であり,「総合的な学習」のユニークな実践を指導する教師たちへの聞き取り調査をベースに抽出した要素をリスト化し,それらの力量を高めるための教育内容・方法を具体的に提案することになる。 初年度の平成21年度は,教員養成や教師教育の領域で盛んに取り組まれている「教員スタンダード」の分析と,欧米の人材開発部門および専門職養成分野で注目されている「コンピテンシー」に関する先行研究を整理した。これらに関しては日本教育方法学会のラウンドテーブルおよび日本教育大学協会の研究集会で口頭発表したが,これらの発表に興味を示された複数の大学関係者から講演依頼を受けるなど,学術界に一定の貢献を果たした。その研究成果は平成22年度中に雑誌に掲載される予定である。 また,本研究2年目の平成22年度には,既に完了している日本と中国の調査データに加えて,フィンランド,デンマーク,スウェーデンの現職教員を対象に「総合的な学習」(テーマ・プロジェクト等)に関するWebアンケートを実施するが,そのための準備と直接交渉を今年度中に行うことができた。
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